とは言っても、空港や飛行機というものには確かにロマンはある。
二胡母、最初に日本を離れたのは17歳の7月で、それ以後も定例行事のように旅をした。揺れるのは好きではないが、空港でパスポートに出国スタンプを押される開放感や、各社飛行機が羽を休める風景や、頻繁に流れるピンポンパンポーンのアナウンスは、旅好きにはたまらない至福の時である。
今、手許に『VERVE』という今回利用したエバー航空の機内誌がある。乗客は持ち帰ってもよいと聞いたことがあるので、私はだいたい毎回いただいて帰る。毎月発行されるそれは、8月1日ゆえ、新品であった。
台湾の航空会社の機内誌なので、日本語は少ない。英語と中国語が主だが往々にして機内誌は質が高い。写真も美しく、紙質も良く、世界中の話題や文化を上手にまとめ、提供してくれる。ここ近年利用することが多い日本航空の機内誌もすばらしく、定期購読のシステムさえある。飛行機に乗らなくても機内誌が読めるのである。
飛行機でのつらい思い出もある。
ギリシャを訪れた時、行きも帰りも直行便ではなくイタリア経由であった。
帰りのローマ経由の際、乗り換えを待つ間食べたサンドウィッチで食あたりになり、関空までの10数時間、トイレに通いつつ苦しみぬいたことがある。
日本につく前にはほとんど治まり、気分も良くなった。
飛行機を降り、入国審査場や税関へと歩く時には、「はー、どっかへ飛びたい」と思った自分に苦笑いした。私は移動に移動を重ねるサダメを本当に与えられているのかもしれない。