台湾の医院はこういうところがほとんどだ。30分ほど前から受付のため玄関を開けたり、準備中の時には待合室を早くも開けてくれる日本のような習慣や文化がないため、初めは焦ったり、心配になることが何度かあった。「9時開院」と書いてあるのに、9時になってもシャッターが上がらない小児科もあった。5分ほど過ぎた頃、バイクで薬剤師の男性がやって来て、二胡母はホッ。だが、向こうは申し訳なさそうな素振りもなく、「君、早いね。」みたいな雰囲気で、のんびり彼らの日常に入って行く。看護師や薬剤師がそうなのだから、そこは医師の到着も遅かった。
さて、二胡母が自分で、徒歩で通える新しいマイ歯科に選んだ偉翔医院の医師は楊氏。受付兼助手は、もう少し愛想が良いほうがいいのにな、と感じる女性である。
二胡母、このところ頭痛か、肩凝りか、歯痛か判断しかねていた経緯を説明し、「どうも歯が原因のようなので、先生に診ていただこうと思い、来ました」と結んだ。フムフムと聞いていた、口数少なそうな楊医師は、私の歯を一度診てみよう、と言い、診察が始まった。
たしかに左奥の歯に軽い虫歯や親知らずなどがあるが、親知らずがさほど痛いようではないし、レントゲンで詳しく調べます、と話し、助手女史にその旨指示した。
久しぶりの歯科。レントゲンも日進月歩しているのだろう、簡単、手軽で速く撮れるのに、内心感心した。
二胡母は左側が傷む、と言ったが、右のも1枚だけ撮るので、困ったぞ、と思う。もし、何かそちらにも問題があれば、持病の顎関節症のことも説明せねばならなくなる。
虫歯や親知らず、歯並びの矯正など一般的な歯のトラブルは個人医院など普通の歯科でよいが、顎関節症も歯科の領域内ながら、また特別な部門に分けられている。顎関節症専門の教育を受け、知識のある医師でないと治療はできない。よって、二胡母の右顎の顎関節症治療は、台湾大学病院歯科顎関節症特別外来の王医師に任せてある。
レントゲンの結果は10分足らずで出た。やはり、右奥の4本ほどの歯にそれぞれの異常が見つかりその程度から優先順位をつけ、治療していくことになった。今日は、歯磨きでうまく磨ききれない歯と歯の間の汚れや歯垢を取ってもらうことになった。それが原因で炎症を起こしている部分があったのだ。
そして、緊張の右側だが、写真はきれいで、問題は見つからなかった。これまたホッ。
おもしろいが、顎関節症は歯科の分野ながら、歯には影響がないのだ。その上、今日の楊医師の施工のおかげか、左頬全体の痛みも治まったにもかかわらず、右頬は今日かなり痛むのも皮肉なハナシだ。顎関節症の痛みが出ているということだ。
右はあっち、左はこっちの歯科に救いを求めねばならないとは、なんと厄介なことだろう、トホホホ………