ところが、今朝7:20頃、その彼女の不服そうな声で電話がかかって来た。だが、すぐパパに代わり、
「今夜はどっちが泊まりに行くことになってたの?」
と訊く。二胡母、
「ランだけど……… 13日母の日は2人一緒に行くってメイからは聞いてるけど。」
と答える。どうも夫の声色からして、今夜も2人ともママん家へ、というのを感じ取った二胡母、
「ま、娘たちで相談して決めたらいいけどね。」
と軟化する。たしかにダブルベッドでも3人はきついが、少しでも母親と過ごさせようと夫が考えているのなら、それも結構な事だととっさに判断したからだ。
一方で、それならランの半泣きに近い声の原因がはっきりする。まぁ、姉妹いずれにしてもその傾向が強いが、二胡母宅には“自分一人で行きたい”のだ。ママを独占したくてたまらない。二胡母は一人っ子だから、いまいち実感としてわからないが、そういうのはあるだろう、どこでも。
今日も暑い台北。ノースリーブでもいい陽気だ。
二胡母、今、例のカフェにいるが、さきほど椅子に座ったままうたた寝していた。扇風機の風がちょうどいい強さで等間隔に全身を撫でて行って気持ち良いのだ。
ここなら予習もパソコンもできる。ラジオも流れている。誰かがいる。声がある。ひとりの部屋にいるのは正直言って嫌いだ。だいたい楽観的にはならないものなのだ。
馴染みの店、叱られることもない。さっきお茶ももう一杯足してもらった。ゆっくりしよう。無理に寂しい部屋に帰ることはないのだ。