このあたりはマンション、アパートが立ち並んでおり、この周辺の数ある私立幼稚園でも永花は施設が最も大きく、園児数も多い。言ってみれば、この辺りの1〜6歳児の多くが永花幼稚園に通っている感じだ。
娘たちを迎えに行ったり、どこかへ出かけるのに歩いていると、
「あ、あれ、メイのおともだち!トマト組の子!」
と突然叫ぶことはしょっちゅう。同級生のみならず、上にも下にも知り合いが増えているようだ。100人を超える園児がいるんだもんなあ……
姉のランは、道で知っている子に出会ったら、名前を呼び、
「バイバーィ!」
くらいで勝手に挨拶を交わしているが、メイは顔見知りに出会うたび、全部私に報告しないと気がすまない。
「ママ、あの子ねえ、みつばち組の00ちゃん。」
そして、もちろん大声でその子を呼んで、手を振っている。誠に疲れる。
中国語圏と日本で、名前に関して異なる習慣がある。
たとえば、日本で「義昌くん」なら「よっちゃん」とか「ヨシ」みたいに名前の上の字を使って愛称とする。
だが、こちらでは名前の下の字で呼ぶのだ。「淑蓉」なら「蓉蓉」とか「小蓉」などとなる。
ランもメイも中国名の字をひとつとってつけた日本名で、台湾式に呼ぶと彼女らが聞き慣れない名前になってしまう。台湾の家族も私の主張を受け入れて、彼女たちが赤ちゃんの頃から「ラン」「メイ」と呼んでくれているからだ。
今回、台北の幼稚園に入園する時にも、担任の先生たちにはその旨説明して、理解していただいた。
彼女らのともだちは、ちゃんと「ラン!あそぼ!」、「メイ、バイバイ!」などと呼んでくれている。うれしいな。