姉のランは生まれてから数年、ほとんど髪が伸びず、ピンク色の服を着せていても男の子と間違えられるのが常だった。
一方、メイは黒々とした髪をたっぷりたたえて誕生。あまりの差にびっくりしたものだった。
姉妹の髪質もちがった。ランはやっと伸びても髪の量は少なめで、柔らかかったが、メイは硬いし多かった。だから、髪を伸ばすとバッと広がるし、まとまりにくくて苦心した。
それで、二胡母はメイの髪の長さの頃合いを見て、おかしくなってきたらすぐ美容室へ連れて行った。
ところが、そのたびに夫のカミナリが落ちた。彼は、特に次女メイのロングヘア姿が見たいらしかった。二胡母は何度もメイの髪質がロングに適さないことを説明したが聞き入れず、メイの髪が二胡母の決断によって切られることに我慢できなくなり、一年半ほど前〔メイの髪に触ること禁止令〕を言い渡したのだった。
そのカミナリは強烈だったゆえ、二胡母はついにメイの髪に関与することから手を引いた。そして、夫の望むままにメイの髪は伸び、腰まで達していた。
幸い、彼女の髪質は柔らかくなり、色も茶色がかってきて、ロングにしても自然に見えた。
が、標準より背が低く、痩せているメイ。髪が重そうに見える。おまけに季節は夏に向かって暑くなってきた。ドライヤーするのもひと汗かいてしまう。早くパパの気持ちに変化が起きないかなぁ、と願っていたところのことで、本当にうれしい。
メイの髪が夫の管制下にあることに変わりはないが、肩のラインで揺れるメイの髪にホッとしている二胡母である。